こんにちは。5月23日に、 株式会社ウェブライダー主催「みんなの資料作成Fes」が開催されました。
セミナーのイベント詳細ページリンク↓
https://dtptransit.doorkeeper.jp/events/172475
資料作成にまつわるエピソードやノウハウを集めたコンテンツ「みんなの資料作成」のライブ版として開催された、10人が各10分の持ち時間で登壇するウェビナーイベント。
視聴者は各登壇者のスライドにオンラインで直接感想メッセージを書け、参加者みんなで学びを共有できる場が設けられておりました。
資料作成のノウハウが、10名分の観点から語られる有意義な4時間でした!
その様子を、登壇順にご紹介したいと思います。
みんなの資料作成Fesとは
Adobe Acrobat オンラインツールのPR企画として始まった「みんなの資料作成」プロジェクトがスピンオフ!デザイン業界やマーケティング業界で活躍する「10人の登壇者」を迎えたウェビナーイベント
– 目次 –
セッション01 「直感的な理解に繋がる!表とグラフの正しい見せ方・作り方」
– 井水 大輔さん
セッション02 「デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング」
– 齊藤 麻子(まこりーぬ)さん
セッション03 「伝わりやすく美しい!スライド資料のデザインを洗練させる4つのコツ」
– fuyunaさん
セッション04 「ノンデザイナーがすぐに実践できる、美しい資料作成のための配色とテキストデザインの法則」
– 牧野 健人さん
セッション05 「魅力的なプレゼンのために!スライド内イメージ画像の探し方・選び方」
– 染谷 昌利さん
セッション06 「これできちんと伝わる!営業資料をプレゼン用スライドに変えるためのコツ」
– 佐野 五月さん
セッション07 「なぜ資料は美しくあるべきか、資料における美しさとは何か」
– 荒砂 智之さん
セッション08 「もう不平等を生まない!社内ルールの整備から学んだ、わかりやすい情報の伝え方とルールの作り方」
– 小野寺 幸多さん
セッション09 「図解がつくれると伝わり方が変わる! 初心者のための図解作成ガイド」
– 鷹野 雅弘さん
セッション10 「相手のYes!を引き出す、説得力のあるプレゼン資料作成術」
– 松尾 茂起さん
セッション01
直感的な理解に繋がる!
表とグラフの正しい見せ方・作り方
- 井水 大輔さん(株式会社エスファクトリー
– 結論を直感的に理解してもらうための表やグラフの見せ方とは?
読み手が知りたがっているのは、結論。
①数値は形式を整えて認識しやすくする
適切なコンマを打ったり、小数点以下を揃えたりすることで桁数をわかりやすく。
%や¥などの記号を用いて単位もわかりやすく表記。
②なくても良い線は消す
グラフも表も、引き算を意識。伝えたい数値だけを目立たせる。
③結論に繋がらない余分な情報は消す
表やグラフの内容は、10秒以内に伝わらなければいけない。
余分な情報は消し、伝えたい情報を色付けたり大きくしたりして目立たせる。
④テキストを記号やグラフで言い換える
テキストのみでの説明よりも、直感的に理解しやすい。
グラフ/表内の項目も、記号で表せるものは記号で表記。
(例:「あり、なし」ではなく「◯、×」で表記)
……「要は」で導き出した結論が「伝えたい情報」。それ以外はいらない情報(ノイズ)と考えて削除する。
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参加者からは、紹介されたノイズ削除方法に対する感動のコメントが多数寄せられておりました。特によく見られたのは「(表の)線を消すことで大きく印象が変わる」という、表の線に関するもの。
また「10秒以内に伝わらなければ駄目」という言葉が非常に印象的でした。
確かに、10秒以内に理解できないものは諦めて読み飛ばしてしまいがち。
お教えいただいた見せ方を参考に、伝えたい情報をより多くの人に理解していただけるようにしていきたいです。
セッション02
デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング
__齊藤 麻子(まこりーぬ)さん(株式会社LIG)
– クリックしたくなるパンチ力のあるタイトルとは?
SNSで受動的に記事を読むユーザーに、読んでみたいと思ってもらえるタイトルを付ける必要がある。
①クリックする動機が明確である
本文を包括した一文よりは、答えを出しすぎない、お上品に隠されたタイトルの方が内容が気になり、クリックしたくなる。
クリックしたくなる三要素
1)知りたい
(例:〇〇な人と〇〇な人の違い/「〇〇」その理由は?)
2)共感する
ワーディングセンスが問われる。
(例:「自分でやった方が早い病」を克服したい。)
3)おもしろそう
そもそも企画がユニークなもの。
(例:LIGブログを売却したらいくらになるか M&Aサービスに聞いてみた)
②パッと見でわかる
タイトルは短く。大体30文字以内にまとめる。
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本文を包括するのではなく、答えをお上品に隠すという言葉が多くの参加者に響いておりました。
あくまでも露骨過ぎないことが、クリックしたくなるポイント。今後はWeb記事のタイトルの隠し方に注目し、その塩梅を学びたいと思います。
セッション03
伝わりやすく美しい!
スライド資料のデザインを洗練させる4つのコツ
__fuyunaさん(株式会社necco)
– スライドを作るためのデザインにおけるコツとは?
伝えたいことをスッと理解してもらえることが重要。
①位置・大きさ・形を揃える
・テキスト:各要素同士の距離は均等に。長文は左揃えに。
・画像:大きさや画角を揃える。
・ボックス:特に意図が無いのなら、バラバラにせず形を揃える。
②メリハリをつける
・テキストに見出しをつける。
・表の特に目立たせたい要素に色をつける。
・スライドの色を急に変えると重要さを表せる。(画像背景にするのも効果的)
(例:ずっと白背景→重要な話題に入るページの背景で急に黒背景)
・数字を大きく表示すると何の数字だろうと思わせることができ、注目してもらえる。
③余白を意識する
・バランス良く余白をつけると上品な印象に。
・写真を見せたいスライドの場合は、思い切って余白を無くし全面に表示する。
④イラスト・画像を使う
・文字だけでは人によって認識がずれることも。写真やイラストで共通認識を作る。
・単語を並べるだけでなく、内容に合わせたアイコンも並べると覚えやすい。
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スライドが実際に綺麗で洗練されている、とコメントする参加者がとてもたくさんいらっしゃいました。シンプルな中に凝らされている工夫が見る側にも伝わります。
確かにスライドの色が急に変わると注目してしまうよな……、などと何度も頷きながら学ばせていただきました。
セッション04
ノンデザイナーがすぐに実践できる、
美しい資料作成のための配色とテキストデザインの法則
__牧野 健人さん(株式会社リラクス)
– シンプルで端正な資料をデザインするには?
即実践できるポイント(コツとツール)。
①配色のポイント
1)メインカラー1色+無彩色
どんな色と組み合わせてもおかしくはならない。
2)ボックス
→目立たせたいものをメインカラーにして、それ以外を無彩色に。
→目立たせたいもののみ、ボックスとテキストの色を反転。(色数を減らせる)
3)テキストの一部を目立たせたい
→メインカラー+太字
4)メインカラーの視認性が低い場合
→色は変えずに太字+下線で目立たせる。
5)色数を増やしたいならツールを使用
→Adobe Color カラーホイール:指定色と相性が良く調和の取れる色を選択してくれるツール。(https://color.adobe.com/ja/create/color-wheel)
②テキストデザインのポイント
適切なサイズ差を担保することができるツールを使用。
Typescale:基準になる文字サイズを指定すると相性の良いサイズを選択してくれるツール。(https://typescale.com/)
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色数を減らす工夫、色に頼り過ぎずに見やすい資料にするノウハウが詰め込まれており、本当に即実践したくなる内容でした。
実用的なツールの紹介も。
早速触ってみましたが、どちらも重宝することになりそうです。
セッション05
魅力的なプレゼンのために!
スライド内イメージ画像の探し方・選び方
__染谷 昌利さん(株式会社MASH)
– イメージ画像素材の選び方とは?
ゴールは「画像探しを楽しく」。
①なぜイメージ画像が大切なのか
イメージとマッチングした画像を挿入することで、視覚的理解を促し、興味関心を引き、感情に直接働きかけ、相手の記憶に残すことができる。
②イメージ画像の探し方と活用法
探し方
1)素材サイト
→Adobe Stock(無料も多い)
→ぱくたそ(地方自治体とコラボレーション 風景画など珍しいものも。)
自分のイメージとタグが違う場合も。類似画像から見ていくと◯
2)見つからないなら生成
→AdobeExpress(プロンプトで生成できる)
→AdobeFireflyコミュニティ(プロンプトの例を見れる)
活用法(コツ)
・大きくダイナミックに。
・オーバーレイ(被せる)(イメージ重なる→ミルフィーユ)
・Fの法則
・Zの法則
日々画像収集。「画像集めは一日にして成らず」
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実際、一つ一つの使用画像が印象的で記憶に残っています。感情に働きかける効果を身を持って体感しました。
プロンプトの作成に不安があり画像生成を試せずにいたので、ご紹介の「Adobe Firefly コミュニティ」早速使用してみたいと思います。
セッション06
これできちんと伝わる!
営業資料をプレゼン用スライドに変えるためのコツ
__佐野 五月さん(irohazum(いろはずむ))
– 営業資料を伝わるプレゼンスライドにするには?
そのまま使ってしまうときちんと情報が伝わらないし、聞き手にとって苦痛。
①営業資料でプレゼンしない方がいい理由
1)情報過多でメッセージが伝わらない
プレゼンは、トーク・スライド・表情・声とただでさえ情報量が多い。
だからプレゼンスライドの情報量が多いと、聞き手にとっては辛い。
2)プレゼンテーションのよさを活かせない
見てわかる情報を読み上げられるのはストレスだし、相手の感情に訴えかけられない。
→契約・納得に繋がりにくい。
②営業資料をプレゼンスライドに変更する方法
先方に配布する資料をまず作成し、それを流用してスライドを作る。
見出し>トランジション>コンテンツ に分解すると作りやすい。
伝わるスライドのポイント4つ
1)トークの補佐になるスライド(全てを入れない。紙芝居を意識する)
2)1スライド1メッセージ(たくさんだと混乱してしまう)
3)テキストを削る
4)無駄な装飾を入れない(内容に関係のないイラスト・写真は×)
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実演付きの解説が非常にわかりやすく、営業資料をそのまま使用したプレゼンと、ご紹介されていたポイントを押さえて作成されたプレゼンの伝わりやすさの違いに感動しました。
「紙芝居を意識する」という言葉も多くの人に響いたようです。良い資料作りのためには覚えておきたい言葉だと思いました。
セッション07
なぜ資料は美しくあるべきか、
資料における美しさとは何か
__荒砂 智之さん(NTTコミュニケーションズ株式会社 KOEL Design Studio by NTT Communications(NTTコミュニケーションズ株式会社内組織))
– 資料における美しさ。そもそも美しさとは?
わかりやすくあるべき理由だけでなく、美しくあるべき理由への理解を深める。
①そもそも「美しい」とは何か
感覚を通じて脳に働きかける事物それぞれが持つ性質。主観的な体験であり、感性的な評価・判断は文脈(文化や年齢、性別など)によって変わる。
美しさは脳の報酬系の部位を刺激し、直感的にポジティブな印象を与える。
②資料における「美しさ」とは
表面的美しさ(視覚)と内面的な美しさ(評価)、2つの側面があり、どちらも欠けてはならない。
見た目が雑だと内容に興味を持ってもらえないし、信用してもらえない。
(芸術的な美しさは求められていないため、ある程度でOK)
③資料を美しくするための考え方
資料を美しくする方法について、語られる共通のメッセージ→シンプル
ツールの機能・表現に「使われる」のではなく、メッセージを研ぎ澄ませ、信用に至る美しさまで整えることが大切。
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資料の見た目が信用に関わるというお話に、参加者からの注目が集まっておりました。シンプルながらも美しいものを素早く作るために、日々学習しなければと思います。
人間の脳の仕組みを踏まえての解説。説得力があり、勉強になりました。
セッション08
もう不平等を生まない!
社内ルールの整備から学んだ、わかりやすい情報の伝え方とルールの作り方
__小野寺 幸多さん(株式会社キーワードマーケティング)
– 社内外とのコミュニケーションにおける悩み。解決するには?
ルール整備で暗黙知(主観的な知識)を形式知(目に見える形になっている知識)に。
①自分たちのワークフローに合ったツール
1)作成したWikiの見やすさ
2)共有のしやすさ
3)ツールの呼びやすさ
→Kibela(https://kibe.la/)を選択し、社内Wiki立ち上げ。
②細かいところまで言語化する
就業規則や社内ルールを種類ごとに定義し、細かいところも言語化。
(言わなくてもわかることほど明文化)
③記述ルールは最低限に書きやすい環境を作る
ルールを記述する際のルール(最低限のもの)を作成することで、見やすいルールを簡単に書き込めるように。
→入社後早く組織に溶け込める。不満が減り、離職率も低下!
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「言わなくてもわかることほど明文化」という言葉に、強く共感しました。
聞くことが多い方も聞かれることが多い方も、身軽に仕事ができてとても画期的だと思います。
離職率が実際に大きく低下していることにおいても、非常に説得力のあるお話でした。
セッション09
図解がつくれると伝わり方が変わる!
初心者のための図解作成ガイド
__鷹野 雅弘さん(株式会社スイッチ)
– 図解制作におけるワークフロー、テクニックとは?
要素同士の関係は表現できないという、箇条書きの弱みを「図解」で解消。
図解とは?(定義)
「単純な図形と短い言葉で物事を説明するグラフィック」(櫻田 潤さん 書籍『たのしいインフォグラフィック入門』)
図解のメリット(効用・意義)
・読む気になってもらえる
・見る人の右脳と左脳を橋渡しすることができ、早く理解してもらえる
出し方も急に全部分を表示するより、説明と並行して段階を踏みながら一部ずつ表示していくと、見ているものと聞いているものが同じになってわかりやすい。
はじめての図解制作(流れ)
図解制作ワークフロー
① 図解で説明したい内容文内のキーワードに線を引く。
② 線をひいた単語を抜き出す(KJ法)。
③ 抜き出した単語をグルーピング。
④ 型を選ぶ。(ベン図、表など)
⑤ ラフに作り清書する(文字を減らすため、アイコンにできるものはアイコンに)
「図解」は、論理的な思考で情報を整理、再構築する作業。
図解は、読み手がコンテンツを読み解く工程を肩代わりする。
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ご紹介の方法を実演されていた時、とてもスムーズに話が頭に入り、感動しました。
見やすく惹きつけられるスライドも、参加者から大反響の様子でした。ご紹介のベン図はもちろん、右脳と左脳の図なども、一つ一つの要素がとても参考になりました。
本イベント用にご用意された画面構成も見やすく洗練されており、4時間楽しく視聴させていただきました。
セッション10
相手のYes!を引き出す、
説得力のあるプレゼン資料作成術
__松尾 茂起さん(株式会社ウェブライダー)
– プレゼンで提案を通すには?
提案を通すには、説得力が必要。
説得力の正体
相手に主張や情報を伝える際に相手にそれを得たい!と感じてもらうための説明力。
「得たい!」=お得感=納得感
納得感を覚えてもらうためのアクションが、説得。
説得の失敗は、得体の知れないもの(=受け入れ難いもの)と思われること。
・自分事化し、相手にとってのメリットを説く(メリットを感じないと納得できない)
・論理丁寧に積み上げて、論理飛躍・論理矛盾を無くす(論理飛躍→納得できない)
・適切な情報量を提供する(情報量が多過ぎると不安で納得できない)
・話者の素性や実績などの背景情報を伝える(信頼できないと納得できない)
ChatGPTを使って、説得の練習をするのも◯
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「得」にまつわる様々な単語の繋がり。とても美しい説明が心に響きました。
確かに納得には自分の「得」が必要だし、得体の知れないものは、損させられそうなものだな……と頷きながら視聴しました。非常に説得力のあるお話でした。
ハキハキとした楽しい語り口調や、魚住 さくらさんとの和やかな司会も参加者に好評でした。
まとめ
一人ひとりの10分間に即実践できるノウハウが凝縮されており、持ち帰るものが非常に多いセミナーでした。
登壇者の皆様によるわかりやすい説明と、工夫の凝らされたスライドに刺激を受け、早速全部試してみたい!とやる気がみなぎっております。
特に印象に残っているのは、鷹野さんが図解の出し方を実演なさった場面です。説明に並行して図解を一部ずつ表示するというテクニックは、必ず真似したいと思っております。
有意義で貴重なお時間を提供してくださった司会のお二人、登壇者の皆様、運営の方々に深く感謝します。